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隣の土地は借金してでも買え!? 限定価格 とは。

隣の土地は借金してでも買え!?

隣の土地は借金してでも買え!? 限定価格とは。

江戸時代の昔から「隣の土地は借金してでも買え!」と言われて来ました。中心市街地のように土地の値段が非常に高い地域においては、隣の土地の併合することで、土地の価値が増加することがよくあります。このような場合、当該地の所有者は、その地域の相場と言われている価格よりも高い値段で隣地を購入しても経済的な合理性が成立することになります。

不動産鑑定では、一般の人が取引する価格のことを「正常価格」と呼び、隣地買収の場合のように特定の当事者間においてのみ成立する価格のことを「限定価格」と呼んでいます。

限定価格が成り立つ典型例

ここでは、実際にあった事例をもとに、この「限定価格」について考えてみたいと思います。

1)接道義務を満たさない土地
国民の生命・健康・財産の保護の為、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた建築基準法において、建物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない(接道義務)と定められています。法律でこのように定められているものの、実際には、この接道義務を満たしてない土地が、世の中には数多く存在します。
例えば、下図のA土地は、道路に1.3mしか接していないので建物を建てることができない筈ですが、現在よりも規制が緩かった時代に建てられた古家が存在しています。土地の価値は、建物を建てられるかどうかで大きく違って来ますが、当該地では建物を再建築することが出来ないので、周辺の土地に比べて土地に価値は著しく低くなります。(通常の3割~4割程度の価値 – 減価率は地域によって異なります)
ところが、この土地Aを隣接地Bの所有者が買う場合は、どうでしょうか。土地Bは、接道義務を満たしているものの、規模が小さいため価値の低い土地ですが、土地Aを併合することによって、道路に接面する部分の延長が長くなり、規模も当該地域の戸建住宅の標準的サイズに近くなります。併合後の土地の価値は従前よりも、大きく増えることになります。このような場合、隣接地Bの所有者は、いわゆる相場よりも高い値段で土地Aを購入しても経済的合理性が成り立ちます。このような場合、隣接地Bの所有者が提示可能な価格が限定価格です。

2)旗竿地
次に、土地の価格の高い地域でよく見かける旗竿地について考えてみましょう。
旗竿地は、表通りから奥まっておりプライバシーを確保しやすいことから、好む方もいらっしゃいますが、道路に接道している部分の幅が2m程度しかない場合、駐車できる車の大きさが制約を受けてしまう上、建築安全条例等によって建築可能な建物が限られてしまうので整形地に比べて価値が低くなります。
例えば、土地Cの所有者が、隣接地Dを購入した場合、併合後の土地は整形地となって、
建築可能な建物の種類(例えば共同住宅を建てることも可能となる)ので増分価値が発生することとなり、一般の人よりも隣接地Dを高い価格で購入しても経済的合理性が成り立つことになります。

3)借地権者が底地を併合する場合
旧借地借家法に基づく借地権者が、底地を併合する場合も増分価値が発生する典型的な例となります。債権である土地賃借権は、物権である所有権   に比べると弱い権利であり、地代の他に、契約の更新料、増改築承諾料、非堅固建物から堅固建物への条件変更承諾料等を地主さんに支払う必要があります。また、借地権を担保に金融機関から融資を受けるのは難しい場合があります。従って、借地権者が、当該借地の底地(所有権)を併合した場合、様々な行為に係る地主の承諾が不要となり、自由に使用処分できる上、当該地を担保として融資を受けることも可能となることから、借地人が一般の人よりも底地を高い価格で購入しても経済的合理性が成り立つことになります。

 

限定価格の求め方

それでは、限定価格はどのようにして求めるのでしょうか。

1)限定価格を求めるプロセス
まず A土地、B土地及び併合後の一体地のそれぞれの価格を求めます。次に一体地の価格から、A土地及びB土地の価格を控除して、併合による増分価値を査定します。そして、この増分価値のうちB土地に帰属する配分額を先に求めたB土地の価格に加算して限定価格を求めます。
① A土地、B土地 及び 併合後の一体地の価格をそれぞれ求める。
② 一体地の価格からA土地及びB土地の価格を控除して併合による増分価値を査定する。
③ 増分価値のうちB土地に帰属する配分額を査定する。
④ 先に求めたB土地の価格に配分額を加算して限定価格を求める。


2) 配分額を求める方法
併合によって発生する増分価値は、それぞれの土地の寄与によって発生するので、配分額は
それぞれの土地の寄与度(比率)を求めて検討します。各土地の寄与度(比率)の査定方法として、a. 面積比による方法 b. 単価比による方法 c. 総額比による方法 d. 買入限度額比による方法 があります。不動産鑑定でよく用いられるのは、d. 買入限度額比による方法
(併合前の画地がお互いに相手画地を買っても損はないとする購入限度額の各画地における価額比にて配分する方法)です。

言葉では分かりにくいので、上記設例を用いて説明します。

① まず、それぞれの土地の価格を求めます
A土地の価格      85,000円 × 120㎡ = 10,200,000円
B土地の価格      90,000円 × 60㎡ = 5,400,000円
併合後一体地の価格  100,000円 × 180㎡ =18,800,000円

② 併合によって発生した増分価値を求めます。
併合後一体地の価格    A土地の価格      B土地の価格    増分価値
18,800,000円  -  10,200,000円  -  5,400,000円 =  3,200,000円

③ 旗竿地であるA土地が、B土地を併合して整形地となる場合の買入限度額比を査定
します。

B土地の買入限度額                8,600,000円
————————————————– = ————————————-
A土地の買入限度額 + B土地の買入限度額       13,400,000円+8,600,000円
≒ 39 %(配分率)
*     A土地の買入限度額 : 一体地の価格 -  B土地の価格
B土地の買入限度額   : 一体地の価格 -  A土地の価格

④ B土地に帰属する増分価値を査定します。
増分価値         配分率
3,200,000円 × 39 % = 1,250,000円
⑤ B土地の価格にB土地に帰属する増分価値を加算して限定価格を査定します。
B土地の価格   増分価値    限定価格
5,400,000円 + 1,250,000円 = 6,650,000円

隣接地の購入は必ず限定価格になるのか

隣接地の購入であっても、必ずしも不動産鑑定で言うところの限定価格にならない場合もあります。いわゆる地上げの場合は、市場価格の2倍や3倍で取引されることもありますし、当事者間の関係によっては、当該地単独の価格で取引されることもあります。国有財産の売り払い、裁判関係の評価では、必ず限定価格として評価されます。

地域の事情、取引の事情・意図等によって、文字通りケースバイケースですので、御相談頂ければと思います。

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