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土地建物比率は不動産鑑定で決めることができます!

1.土地建物比率が問題となるケース

ご案内の通り、消費税法上の扱いで、
土地 ― 非課税資産
建物 ― 課税資産
となっていることから、取引等において土地建物比率が問題になることがあります。

例えば、取引価格が総額10億円の不動産が売買された場合、

建物比率が高くなると、消費税額が多くなり、建物比率が低くなると、消費税が少なくなるので、売主側は(消費税の負担を軽減したいので)建物比率を低くしたがる事が多いです、

※減価償却費については、別項で説明します。

売主・買主の公平性の観点から、土地建物の比率は、固定資産税評価額の比率で決定されることが一般的ですが、これは絶対的なものではありません。

例えば、建物が耐用年数を満了している場合、固定資産税の評価では20%の残価率が設定されている為、実際の経済的価値よりも高く評価されていることを勘案する必要があります。

2.東京地裁で注目すべき判決が出ました。

従前より一部関係者の間では、土地建物比率を鑑定評価で決めることが出来ると言うのは、周知の事項でした。先般東京地裁で、不動産鑑定を用いた土地建物比率決定をサポートする判決が出ました。以下、この判決(令和元年(行ウ)第480号、令和4年6月7日判決)について、詳しく見ていきます。

① 個人Xが平成28年8月に大阪市中央区東心斎橋1丁目に所在する事務所ビルを10億500万円で購入した。売買契約書に土地・建物価格が明記されていなかったことから、個人Xは下記の通り、土地建物価格を按分して確定申告を行った。

 

個人Xが採用した土地建物比率の査定根拠は下記の通り
a. 平成28年の相続税路線価に基づき土地の価格を求めた。
920,000円/㎡ × 357.74㎡(地積)÷ 0.8 ≒ 411,401,000円
b. 次に建物の価格を以下の通り求めた。
国交省建築統計年報の昭和53年(建物の築年)の標準建築価格 122,400円/㎡
122,400円/㎡ × 2,825.25㎡ ≒ 345,810,600円(新築時の建物価格)
345,800,600円 - 償却率0.02・38年8ヶ月償却 ≒ 105,126,454円
c. 取引価格1,005,000,000円 × 411,401,000円/(411,401,000円+105,126,454円)
≒ 800,457,455円(土地価格)
取引価格 1,005,000,000円 - 800,457,455円 = 204,542,545円(建物価格)

※ 個人Xは、土地建物比率査定の為、土地価格を相続税路線価から求め、建物価格
を国交省建築統計年報の標準建築費から求めている。後述の通り、国(東住吉税務署)から否認されているものの、この査定方法は特殊なものではなく一定の規範性を有している。

② 国(東住吉 税務署長)は、個人Xによる土地建物比率の査定方法は、土地と建物それぞれの評価機関とその評価時期が同一でないものを規準に算定しており、合理的な方法として認められないと通知した。

国は、固定資産税評価額に基いて土地建物比率を査定した。
a. 平成28年1月1日時点の建物の固定資産税評価額 197,186,000円
平成28年1月1日時点の土地の固定資産税評価額 246,027,000円
b. 取引価格1,005,000,000円 × 197,186,000円/(197,186,000円+246,027,000円)
≒ 447,125,716円(建物価格)
取引価格 1,005,000,000円 - 447,125,716円 = 557,874,284円(土地価格)

③ 個人Xは、国による更正処分を不服として裁判を起こした。東京地方裁判所は、O鑑定事務所に不動産鑑定を命令し、当該不動産鑑定による土地建物比率を妥当と判断した。


本件不動産鑑定が実施された背景等は下記の通りである。
a. 対象地の東側接面街路の相続税路線価は、平成21年度の121万円/㎡から平成25年度の78万円/㎡へと下落していたものの、平成26年度以降上昇に転じていた。
近傍の基準地価及び地価公示価格も同様の動きを示していた。
b. 平成26年度以降、地価が上昇に転じた背景として、大阪市中心部においてインバウンド観光客が急増し、インバウンド客向けのホテル及び  店舗用地への需要が 急拡大し、用地取得競争が激化したことが主因と考えらえる。
c. 国が土地価格比率の査定に採用した固定資産税評価額では、評価額替えのタイミングの問題から、対象地及び近傍における平成26年度以降じの地価の上昇が反映されていなかった。

当該裁判の判決文より、鑑定士としての立場から、注目すべき箇所は以下の通りである。
* (固定資産税評価は)全国一律の統一的な評価基準による評価によって、各市町村の評価の均衡を図り、評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を目的とするものであり、かかる目的の下に行われる評価は、適正な鑑定の過程において考慮の対象とされる ような当該資産の個別的事情については、ある程度捨象されることも前提としている ものということができる。

* (固定資産税評価額による土地建物比率を用いることは)一般的には、その合理性を肯定し得ないものではないが、当該資産の個別的事情を考慮した適正な鑑定が行われ、その結果、固定資産税評価額と異なる評価がされ、価額比においても実質的な差異が生じた場合には、もはや固定資産税評価額による価額比を用いて按分する合理的な根拠が失われ、適正な鑑定に基づく評価額による価額比に用いて按分するのがより合理的になるというべきである。

勿論、不動産鑑定評価基準第一章に規定されているように、良心に従い、誠実に当該資産の個別的事情を考慮した適正な鑑定が行われることが前提となる訳であるが、取引等において問題になり得る土地建物価格比率の査定における不動産鑑定の位置付けについて見解を提示したという点において、当該判決(国が控訴しなかったので確定)の意義は大きいの ものと考える。

 

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