これぞ日本の生きる道!
先日、東京ビッグサイトで開催された Interiorlifestyle Tokyo という展示会に行ってきま した。
テレビ等で「日本のここが凄い!」みたいな番組が盛んに放映される一方で、IT系の新しい産業が育たず、少子高齢化も相まって長期的衰退傾向に歯止がかからない我が麗しの日本国ですが…
例えば、伊勢神宮の建築にみられる高貴な素朴さ(三島由紀夫)、日本刀に込められた突き詰めた(職人的・精神的)モノづくり、徳川時代に各藩で行われたご当地の名産品・特産品を生み出そうとした地道な努力… 神経症的ともいえる技術・繊細さに裏打ちされたモノづくりに日本の生きる道があるのではないかと考えています。
この展示会では、センスが良く美しいインテリア系商品(道具、食器、装飾品 etc)が多数出展されており、とても興味深かったです。
特に興味を惹かれた Product を三つほど紹介します。
GRAVIMORPH / グラビモルフ
新潟県の燕三条は、職人技を駆使した金属加工製品で世界的に有名な産地です。 グラビモルフは、8人の職人による超精密加工の金属部品を組み合わせて制作されたオブジェで、金属の塊がゆくっりと小さい音をたてながら、緩斜面をすべり落ちていく動きを味わう実用性ゼロのProductです。
GRAVIMORPH
日本庭園にある鹿威しなどにヒントを得て制作されたとか。説明員の方によれば、このProduct はまる人ははまるそうです。小職は、はまってしまい、何度も操作してしまいました。公式サイトに説明がありますが、気持ちを落ち着けた時、心が疲れた時に効くような気がします。あと、オフィスの机の上に、こういう謎のオブジェがあったら、恰好いいのではないかと思いました。
CHIKIRI Project Theater Back
CHIKIRI Project のテアトルバックは、実際の舞台背景の制作を行う絵師が実際に使われている技法で、ひとつひとつ丁寧に描いたProductです。下記サイトで紹介されているように室内に飾る絵のほか、建築の外壁等で使われているものです。
CHIKIRI PROJECT (chikiri-project.com)
日本の能・歌舞伎は、作品の内容、演者のレベルの高さ、舞台装置・装飾の美しさから、酒世界で最も優れた演劇の一つであると言われています。能舞台の背景には、くねくねと曲がった松が描かれていますが、生の自然のエッセンスを巧みに抽出して極めてシンプルかつ大胆に表現する伝統芸能の舞台美術の技術とセンスには圧倒的なものがあり、これをインテリアや建物のエクステリアに活用するという発想が面白いと感じました。
松葉畳店
しめ縄やお正月飾りや水引に使われる藁・井草や紙は耐久性に乏しく、石や金属といったSolidで長持ちする材料が多用される西欧では、工芸品・装飾品として使用するということ自体が考えられない素材だと思います。(野暮な話となりますが)原価というものを考えてしまうと、お正月飾りも酉の市の熊手も、かなりの付加価値を取っているのではないかと思ったりもします。純粋なデザインとしてみても、アンシンメトリーのデザインであるとか、
素材の風合いを巧みに活かしていたりして、いわゆる和風デザインの方向性と突き詰めているのではないかと思います。
松葉畳店は、脱サラして静岡市内にある老舗畳店で5年間住み込み修行した後、焼津市にあった畳店を引き継ぐような形で開業してできたお店です。
すっかり洋風の生活になじんでしまい、畳という床材から遠ざかってしまった私たちですが、子供の頃に感じた青畳の爽やかな匂いとか、記憶の深いところに残っているような気がします。同店のサイトは、井草の栽培・加工の紹介等も載っていて、とても興味深いです。
松葉畳店2020 | HOME (matsubatatamiten.jp)
お店のたたずまいも、渋い中にもお洒落な雰囲気でとても素敵です。静岡方面に行く機会があったら、是非寄ってみたいと思います。